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          ごあいさつ 
           川柳という文芸がはじまって250年。その間、狂句と自ら呼んだ時期も含めて、この小さな文芸は、庶民の間で確実に人の心を捉えてきました。 
           人口に膾炙した古川柳は、今も無意識のうちに成語や日常会話の中に現れます。 
           そして、近代文芸として目覚めた明治の中興から100年。多くの名句が残され多数の作家が歴史に現れました。 
           しかし、川柳の一大ブームと評されながらも、時の流れは多くの川柳関連の遺産を失いつつあります。特に「川柳」という文芸が、俳句や短歌に比して下に見られる風潮から、ある作家が亡くなると、その家族は、川柳関連の遺品を安易に始末してしまうという悲しむべき事態が多くみられます。 
           川柳博物館の趣旨は、「川柳」という文芸を正統に評価し理解していただく資料をビジュアルに提供するとともに、失われゆく重要な川柳の遺産を少しでも収集・保存し、今後の川柳研究の一助として整理・公開することにあります。 
           また、川柳に関するデータベースづくりも重要な作業として整備しています。 
           この小さな文芸を愛し、今後の発展にむけて努力してまいりたいと存じます。皆さまの温かいご支援をよろしくお願い申し上げます。 
                                         
           2003年9月23日 川柳忌に 
                                                            
                        
          尾藤 一泉 
            
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