呉陵軒の印からみる作者名

 

            
  初篇             4篇           11篇序          11篇祓

 

 呉陵軒の印は、「誹風柳多留」の序の各所に見られます。
 最も目にする機会の多いのは、初篇のもので、かまぼこ型の印と角型の印が2架一組になっています。上は、左側の文字が不詳で「柳顔?」ではないかと思われます。下は、十二支の暦環の中に「水禽舎木棉」と読めます。川柳の印と記している文献も見かけますが、明らかな読み違いです。
 4篇の一組の印から、作家名としての「木綿と編者名としての「可有が同一人物であることが解ります。
 重要なのは、11篇に登場する印で「水禽舎と「縁江之印が一組で使われていることから、呉陵軒可有以外に水禽舎縁江という号を使っていたと思われます。これは、前句附、柳多留系では署名されていませんので、それ以外の分野で使われた名乗りと思われ、正体のよく解らない呉陵軒のプロフィールを解く鍵になるでしょう。
 このことについての発表はこれが初めてで、残念ながら水禽舎縁江についての調査はこれからです。