前句附 まえくづけ

 元は、前句(課題)に対し附句(答え)を付ける俳諧の修練のひとつの方法であったが、後に雑俳化し、それ自体を楽しむようになった。
 「七・七」の前句に対しては「五・七・五」の附句を、「五・七・五」の前句に対しては「七・七」の附句をおこなう。『犬つくば集』の
 
  [前句] 切りたくもあり切りたくもなし
  [附句] 盗人を捕らえてみれば我が子なり

は有名であるが、川柳の気分に近いこの附句のほかに

  [附句] さやかなる月を隠せる花の枝

という、いかにも俳諧らしい附句も同集に納められている。
 川柳は、この前句附の附句が独立して鑑賞されるようになった文芸である。