三段切れ さんだんぎれ

 三句体の5・7・5が、いずれも切れたかたちで、一章中に二つの空間を持つ表現形式。一般的には、わずか十七音の詩形では、ポツン、ポツンとリズム感のない味気ないものとなる。ただし、その停滞したリズム感を逆手に利用し、内容を三段切れの表現によって強調する場合がある。
  冬の蝶 一羽舞い立つ 訴状より   慶子
は、上五が体言で、中七が動詞の終止形で、それぞれ切れている。この停滞したリズムの特徴は、ふつうの律格、つまり下五の方から転倒させて読んだ
  訴状より一羽舞い立つ冬の蝶
と比較してみれば明らかである。
有名な三段切れの俳句に
  目には青葉 山時鳥 はつ鰹    素堂
  奈良七重 七堂伽藍 八重ざくら  芭蕉
 などがあるが、いずれも動詞を使わずに描写だけをして一句の構成とし、結果として一つの世界を描いている。