川柳を書く ギャラリー

 川柳を「書く」というのは、「詩吟書画刻」という文人の嗜みにおいて自作の詩を書にする行為です。
 古くは、短冊作品や扇面、条幅が主流でしたが、明治以降には色紙が多く書かれるようになりました。
 短冊には、和歌短冊以来千年の作法がありますが、今日では、その作法を知らぬ者が多くなり、伝統美としての短冊の書法は失われています。一人でも多く、伝統の作法を知って、実践しながら広めてほしいと思っています。

短冊

五月鯉四海を呑まんず志 川柳久良伎
(朱雀洞文庫)

 短冊は、和歌の伝統として〈歌短冊〉作法が生れ、室町以降は、発句などを認める〈句短冊〉として用いられるようになりました。
 「起筆位置は、三つ折り一字半掛りで、署名は脇に寄せ落款の印は捺さない」というのが基本です。
 最近は工芸用の幅広短冊が売られていますが、句の文字だけを認める場合には、並幅短冊を用います。
 特に、献句や祝吟、追悼句などの時に、句の贈答作品として短冊を用いる場合があります。
  ギャラリー 1
  ギャラリー 2

扇面

お師匠さんの瞳が袖にある滝流し 三柳
(朱雀洞文庫)

 扇面への揮毫は、作品として飾るというより、用いて楽しむための染筆です。
 毎年、その時の気分にあった川柳を扇に書き、句会などの友にするのもお洒落です。
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条幅

旅先の湯屋の鏡にフト映り 雀郎
(朱雀洞文庫)

 多くは「半切」サイズの作品ですが、さまざまなサイズの条幅作品が書かれてきました。そのままでは鑑賞できないので、表装して掛軸のかたちで鑑賞します。
 色紙や短冊作品に比べて大きく、床の間などに飾ることが前提ですので、やや畏まった作品といえそうです。
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色紙

古くさいけれど親父はあったかい 三柳
(朱雀洞文庫)

 今日でも川柳が一番多く書かれている素材です。
 色紙には、無地の白いもののほか、打ち雲や色彩、絵柄などの入った素材があり、句を書くだけでも一服の作品になります。短冊が「和風」で落款を戒めているのに対し、色紙では落款の色や形の面白さを合わせて楽しめます。
 縦長に用いる以外、煩い制約が無いのでのびのびと染筆することができるでしょう。
  ギャラリー 1 歴史作品
  ギャラリー 2 三柳作品
  ギャラリー 3 一泉作品

川柳画

よきことばあしき言葉も小さい舌 一泉
(朱雀洞文庫)

 色紙や短冊に句だけを書くのではなく、絵を添えて楽しみます。
 「詩吟書画刻」という文人の嗜みに、自らの史を書であらわし、絵を添え自ら刻った篆刻作品で飾るという一連の作業を実践する楽しみです。
 ギャラリー 1 歴史作品
 ギャラリー 2 一泉作品

フォト川柳

 書を認めたり、絵を描いたりするのが苦手…という方にとっては、パソコンを駆使して、自らの句に自ら撮った写真を組み合わせるという表現の楽しみがあります。
 構図や文字を工夫することで、魅力的な表現になります。
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