川柳の三要素 |
川柳の伝統的な特性をいうのに「三要素」と呼ばれるものがあります。
図1 図2 |
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う が ち 三要素の1 |
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「サラ川」の中から例句を挙げてみましょう。 賞与の日廻らぬすしを食べてみる |
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か る み 三要素の2 |
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「軽み」というのは、内容より形式にかかわる言い方で、さりげなくサラリと言ってのけた句体から、深い奥行きや広がりを感じさせることです。ゴタゴタと並べ立てて、何もかも言おうとすると、句体が重くなるばかりか、内容的なふくらみもなくなります。 |
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「うがち」や「おかしみ」の例句に挙げた作品が成功している理由も、それぞれの表現に無駄がなく、すっきりと仕上がっているからです。どんなにいい発想でも、一句のすがたがギクシャクしていたのでは、心に残るような浸透性のある作品は期待できません。 |
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お か し み 三要素の3 |
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川柳とはユーモアの文芸であるということが誤解されて、何でもおもしろおかしいことを言えばいいと考える向きがありますが、川柳の笑いは結果であって、目的ではありません。無理やりに卑俗な事柄や言葉で笑わせようとしても、シラけるだけで、低次元のコトバ遊びもこれに類します。真実をしっかりとらえれば、人間それ自体が結構おかしい存在なのです。川柳には、じわりと湧いてくる笑い、自然のユーモアが望ましいので、くすぐりやジョーク、語呂合わせなどは川柳の「おかしみ」とは本来別なものなのですが、まだまだそれらが多いのが目立ちます。 |
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入院の部長を見舞うあみだくじ |
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川柳の三要素とは |
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個別に川柳の三要素を見てきましたが、これは、伝習的川柳(とくに古川柳)の特性を、うがち・おかしみ・軽みとしたもので、「うがちの句」や「軽みの句」が単独に存在すると考えるのは少し間違っています。 |
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