川柳は、人間のあらゆる面を描いてきました。もちろん、初代川柳在世中にも末番の句がありました。人間のあらゆる面を描き出す川柳にとってタブーなどありません。
男女の愛や風俗を豊かな感性で描いた作品は、『末摘花すえつむはな』といった書籍にもまとめられています。
やがて幕府という権威は、川柳などの庶民に身近な文芸が「寸鉄」として風刺することを恐れ、お触れによって表現の内容を縛ろうとしました。寛政の改革や天保の改革によって、川柳も存続の窮地に経たされたこともあったようです。
表現を縛られた川柳は、その反動でいきおい<末番すえばん>と呼ばれるような卑猥で下世話なテーマで句会参加者同士が楽しむということが盛んになり、卑猥な末番句ばかりを作って楽しむ句会さえも催されることがありました。
しだいに卑猥さを競うように表現もエスカレートし、文芸としては見るべき内容を失いますが、漫画のような簡略画と末番句がコラボした絵本柳樽などが巷に溢れ、川柳といえば卑猥なものとの誤解を生むようになっていきます。
「18禁」は冗談ですが、川柳の一面として存在する末番句にも目を向けてまいりましょう。
けっこう、この世界に興味を持ち始めると、なかなか抜けられなくなるとともに、奥の深さが楽しくなることさえあります。ご注意あれ…。
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