自由律 じゆうりつ ・ 破調 はちょう

 破調というのは、定型の格調を破った、自由な律格で構成された作品で、総音数とは関係ありません。
 定型音数の十七音の中でも、三句態のバランスを無視したさまざまの音脚構成が可能であり、また五音、七音の区切れにこだわらない破調では、総音数も長短自由な恣意性をもちます。
区切れ(意味の切れ)と音調(音脚の切れ)とのずれが変格ですが、それがさらに複雑に入り組んで、定型の格調からまったく逸脱したものが破調であり、古くは腹調子などとも呼ばれましたが、現在は一般的に自由律と呼ばれています。
 この自由律に長律、短律などと称する極端に多音数の作品(三十音〜四十音)と寡音数の作品(六音〜七音)がありますが、これらをもジャンルとして川柳の名で包括しうるかどうかについては、一概にはいえません。

 

a)十七音自由律

  ・千人の爪の伸びてゆくしずけさ
  ・穴へはいりたい穴を掘れば溺れ
  ・雨雨雨雨雨雨離婚する

 

b)多音数自由律

  ・あれは風だったのか花かげの指紋      (18音)
  ・むかし耳は絹とたわむれみるみる枯葉    (21音)
  ・万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た (23音)

 

c)寡音数自由律

  ・棺桶の乱打月月火水木金金             (16音)
  ・夜木の芽を感じたり                         (12音)
  ・月もひとり                                       (6音)