凡日抄

時事的に

                 尾藤 三柳

 

 
サイレントベビーの視線から逃げる 白日に鉄のはらわた人のはらわた
嚥み込んでから牡丹餅が苦くなる 毒薬をゆっくり注ぐきれいな耳
介護保険がもてあそぶ柿のタネ

小江戸・川越吟行

毒婦の毒に甘い裁判 銀座で弾が降った梅雨入り
四代の諸味が鳴いてそとは春 刃物屋も十六代の目鼻立ち
まなうらに描く十町四門前 千本格子が目を醒ますきつね雨

路地裏に子の声がある七曲がり

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