玄奘の道はるかなり飯茶碗
神様が人より多い貧しさよ
ひょいひょいと避ける神様 犬の糞
あてもなく歩けば神の眼は三つ
カーストの臭いを問わぬ蝿の足
月細く異国にひとつ絵具皿
ひとり来て異国の神の温かさ
厚着して神々の座へ旅に発つ
民族の糸がほぐれぬ交差点
悲劇の類型が参道に犇めく
仏像へ素直な指の無い合掌
マニ車クルクルクルと人が寄る
旅行記の行間に棲む神の脈
中世の闇から降りてくる祭
神の国天は芯まで晴れわたる
神様のひさしを借りる俄雨
神々の目鼻をあげつらう他人
いんぎんに露天の神は売られゆく
公平に陽は廻り行く夜の寒さ
往き暮れていきくれてまた道に朝
神様に押されて道が伸びていく
|