創 作

内乱の予感

                 尾藤 一泉

 

内乱の予感に貌のない骸
モノが溢れて闇の増殖
血刀が二本真昼の夢醒めて
まないたに置く総裁の耳
革命を起こせと届く迷子札
100均店で仮面滑らす
積年の因果を拾う足の裏
孔孟を売る人肌の椀
営々と二十世紀の貧紡ぐ
潮の呪文を飽かず聴く夜
新世紀石の重さはそのままに
引き金も軽く砂漠に雨が降る
昨日のままの広場の鳩と僕のシャツ
フロイトに覗き込まれる春のユメ
内なる神に逢いに行く舟