課題吟

課題吟の考え方
課題吟で陥りやすいミス
課題吟のポイント
 

課題吟の考え方

 
   

 川柳の中には、自分の創作意欲によって何にもとらわれず(作者自身がテーマ・材料を選ぶ)に作る自由吟と、句会や応募作品のようにテーマか材料の一部があらかじめ与えられ、それによって句を競う課題吟(題詠)があります。
 課題吟では、題と川柳作品が呼応して作り出す世界(風景)が作品を膨らませます。後述する課題吟の一種「字結び」とは違い、課題のコトバを使っても、意味を変えたのでは課題吟になりません。
 題を作品中に取り込んで作る場合(「読み込み」という)と、題の内容を作品に暗示させる場合があり、題の性格によって使い分けます。

 <例> 課題「未来」
        子の未来 父の縮図にしたくなし   (読み込み)
        鷹になれかしと七夜の墨を摺る    (読み込まず)
 

 ●課題を読み込んで作る場合
 
@読み込まないと題意を作品に取り込めない場合
 普通名詞、つまり一般的なモノの名称は、概ね読み込みを必要とします。
例えば上記例「未来」の場合は、課題を読み込んでいなくても、題意を取り込むことが可能です。
ですが、例えば「リンゴ」という課題の場合は、リンゴそのものを読み込まないでは課題吟が成立しません。「リンゴ」は「リンゴ」以外に言い表す方法がないのです。
        豊作のリンゴが赤い地平線      酔車
 また、中には類義語に置き換えることができるものもあります。
 例えば「茶碗」を「湯呑」とか「久谷」にしても、音(字)数は同じだし、句意もさほど変わりません。「ムギワラ帽」は「ストローハット」としても意味が変わりません。ただし、類義語の置き換えは、読み込みと性格的な違いはありません。

A固有名詞と特殊名詞
 @では、「茶碗」は普通名詞で「久谷」と置き換えることができましたが、「久谷(焼)」という固有名詞が出題された時は、「茶碗」に置き換えることができません。ただし、人名や地名、また特殊な商品名などが課題となることはほとんどありません。

 ●「字結び」

 課題出題の中でも、特殊な出題方式として、「字結び」というのがあります。
 一字結び、二字結びなどを総称して結題(むすびだい)と呼んだもので、現在は一字結びだけがもっぱら行われています。
 ふつう漢字が一字だけ出題され、一句の中にかならず読み込むことが義務づけられますが、字結びの場合は、その漢字をどんなかたちで用いてもよいことになっています。
 例えば、「空」がソラでなく、空財布、空気マクラのたぐい、空振り、絵空事、空しさ、空々しさ、などでもよく、また、円空仏(えんくうぶつ)や孫悟空でもかまいません。というより、むしろ意表を衝いた着想が珍重されます。
 この点が一般に行われる課題吟と違うところで、たぶんに遊戯的要素の強いものとなります。


課題を読み込まない場合

 例えば、「にぎやか」という課題で、
          それぞれの重さで囲むチャンコ鍋
 とするなどが課題を読み込まない例です。もちろんこの場合、
          にぎやかに力士が囲むチャンコ鍋
 課題を読み込んでもいいのですが、相撲部屋の食事といえばにぎやかに違いなかろうに、それをはじめから「にぎやかに」と説明しきってしまうと、作品にふくらみがなくなり、余情としてひろがる空間を、自分からふさいでしまうことになります。
 「にぎやか」といった直接の形容語を用いないで、にぎやかと感じさせる風景が描ければ、読者をそれだけ作品の中に引き止めておけるというものです。
 アンコ型、ソツプ型、大兵、小兵、さまざまの体重で囲んだチヤンコの情景から、題意の「にぎやかさ」といってしまうより、効果的なのです。

 これが、課題を読み込まない場合の利点、というより、古来、機智的要素をたのしんできた川柳の特質をうけつぐものといえます。